朗読会ー井上ひさしさんを偲ぶ

★写真は花だいこんです。
★昨日23日例によってタイムオーバーな程ブログを書きすぎて一瞬にして一切の文章が消えてしまった。
★時間を見ると朝の4時すぎていたので、諦めて更新するのを止めて、風呂に入って寝た。
★多分設定の仕方の問題と思うが、少し興に乗って長く書きすぎると、必ず消えてしまいやり直しになる。
★以前ワープロで書いていたころ、名古屋のNHKで仕事していて、やっと30分のドラマを書きあげて、保存して印刷しようとした瞬間、間違えて、削除を押してしまい、一瞬にして、空白の地獄に落ちたことを思い出す。
★すでに締め切り時間は超えていて、でも何かとディレクターに言い訳をして、初めから書きなおしたものの、同じようには描けず、書き終えたことは書き終えたが最初の消えた脚本には及びもつかなかった。
★というわけで、以下は仕切り直しの一文。
★本日は座・高円寺で夕方から劇作家協会の総会があった。
★終わって、19時からの井上ひさしさんの追悼朗読会までの間、別役 実。斉藤憐。小松幹生。土田英生さんと定食屋で食事。
★斉藤さんの現在執筆している作品関連の話などが聞けて、優雅な定食屋での一時だった。
★やがて、25人の劇作家が各々井上さんの作品の好きな部分を朗読するというちよっぴり豪華で、多分2度と見られない舞台が座・高円寺で始まった。
★中には元役者だったり、現在も劇作家で演出家で役者という人もいるので、それなりに井上さんへの気持ちを込めて、自然な感じで読む人が多いのだが、ほとんど役者はやられたことのない別役さんや小松さんが訥々と読む朗読が心に染みた。
★今流行りの作家本谷有希子の、意外にナイーブな朗読にも魅入られた。
★終わって、ロビーに出てきた野田秀樹を捕まえた。なんと30数年ぶりの再会だった。
★当時肉体言語というマイナーだが志の高い雑誌があり、その座談会に小劇団の座長として、野田も小生も招かれて喋った。
★たまたま、なんで芝居を始めたかという話になり「貧乏から逃れそれを忘れるため」と小生が言ったら野田は「ケケケ」と高い声で笑い「タカヤさん、今時貧乏なんかパロデイ―にしかなりませんよ」とほざいた。
★「むかっ」と来たのを覚えている。人の動機(モチベーション)を笑うなかれ。
★その後、彼は分厚いガリバンズリの自作台本を送ってきて、読むともなく開くといきなり「舞台中央に巨大な釜がある」等と書かれていて、ついごまかされて、分厚い台本を読み終えてしまった。
★それから、東大の寮の講堂のようなところでやった野田の舞台を見に行くと、終幕、サスのライトの下で一人花吹雪を浴びた短駆なタイツ姿の野田自身を見てしまった。
★その瞬間「こいつには負けた」と思った。
★それは抑制ということを知らない芝居だったからである。
★凡人の小生はせりふや舞台そのものの上で、「ここまで書いたらリアリティーがないか」とか「これ以上やつたら品がないか」等という抑制と表現との戦いにいつもさいなまれている。
★良くも悪くもそういう抑制のない、あるいは抑制をわざと取り払った劇作家のみが売れるのである。
★柳 美里は貧乏とか差別に何の抑制があるか?本谷 有希子はいきなり「うんこ」等というせりふから劇を始めて見せる。
★従って、この時私は少なくとも野田に負けたと思ってしまった。
★それから幾星霜、昨年夏やつとのことで小生は貧乏をパロデイ―ではなく「十二双川物語」という形で、やや抑制をほどきながら舞台にした。
★「覚えていますか?」と野田に私は言った。「覚えていますよ」と野田は歩きつつ表情も変えずに劇場の出口に急ぎながら言った。
★きっとそういうたぐいの声のかけられ方は、へきへきするほど多くうんざりしているのかもしれない。
★その後、小生は、吉村ゆうさん小林拓生さん等と沖縄料理の店で飲んで帰った。
★続きはまた明日だよベイビー!
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