インキの匂い

★写真は青葉です。
★さて、昨日ブログを書き終わって風呂に入ったところで思い出した。
★昨日、ブログに書こうと思ったのは、新聞紙のインキの匂いの事だったと……
★風呂から出て、訂正して追加してもよかったが、夜中の3時半を過ぎていたので、やめて、今日に送った。
★昨年の芝居「十二双川物語」にも散々書いたので気が引けるが、わが家は子供の頃大変貧乏だった。
★父は20以上も職を替え、母も保母をやって共稼ぎで頑張ったが、なにせ5人兄弟とおばあちゃんを入れると8人家族。
★父が失業していたとき等本当に食うに困った。
★1日置きに夜飯が素うどんだつたり、海苔さえついていない握り飯に沢庵だけがおかずの日もあった。
★勿論小学生の時から小生は長男なので働いた。
★そんななか、なぜか古い時々音の聞こえなくなるラジオがあり、新聞だけは取っていた。
★新聞等止めれば良いと思うが、今にして考えれば新聞を取り続けていた、父と母は偉かったと思う。
★多分そうした処から、世界観のようなものが、幼いころから私にも若干なりとも、つちかわれたのだと思う。
★昔の新聞は独特のにおいがあった。
★今とは違うプーンとくるインキの匂いだ。
★それは素敵な匂いで、新聞の記事を読もうとして、紙面を顔に近づけると、独特のにおいそれは社会なのか世界なのかどこか遠いところから飛んできた、ハイカラな匂いがしたものである。
★今ではインクも進歩して、匂いも薄くなり、あまりインクで手が真っ黒になる事はなくなった。
★思えば、新聞は読んだ後、トイレの落とし紙にも使ったし、我が家では畳が擦り切れたため、隙間だらけの板とわらになり果てたたたみの藁の上に敷き詰めてた。
★冬は新聞紙は暖を取り、床から吹き上げる木枯らしをよけ、夏は床の暑さよけになり、随分と活躍したものである。
★いずれにしろ、玄関に放り込まれた朝刊や夕刊のインキの匂いをそっとかいでから、ページをめくって読むのが好きだった。
★その頃の切り抜きがスクラップブックになって黄なびてまだある。
★その記事は植物博士 牧野富太郎博士のイラスト入りの植物についての囲みの連載等である。
★今故あって、色々と本等の整理を進めているが、どうしてもこの古い古い57年も昔のスクラップが捨てられない。
★牧野博士の新聞記事は立派な本になっていて、それを買えば済むのかもしれないが、捨てられないのだ。
★ベイビー!捨てる事は難しい。古い人間には殊更むずかしいのだ。
★わかるかなー。
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