ラスコールニコフの場合
★写真は「さかしま本能寺」の稽古風景です。
★さて、本日は作業と集中稽古3日目です。
★午後、「音のないレモン」の稽古をやり、夜「さかしま本能寺」の稽古をやりました。
★会場と実寸の取れる稽古場に来ると色々隙間が見えたり、芝居のテンポやリズムのアラがはっきり見えたりします。
★本当はそれらのひっかかったところを5回でも6回でもやり返すのが本来の小返しなのですが、時間の余裕がないとほとんど1回か2回で先に進むようになります。
★やはり反復練習をして、セリフと躯の動きが躯の中へ落としていかなければなりません。
★と同時に相手の話を聞き受けとめて、返すという稽古が必要なのです。
★会話とはキャッチボールとは違います。キャッチボールは大体取りやすい玉を相手に返すのですが、会話は得てして受け取りやすい会話が来るようには書かれていません。
★ほとんどその反対に荒れ球が、躯の上のほうや、とてつもなく低い処へスピードを増してやってくるのです。
★それを一回一回きっちり受け止めて返してやるのが会話のリアリィティーなのです。
★そういう事から言えば、同じ間で同じ表情で切り返すという事は極めて、リアリィティーのない会話を何回も練習するというとなのです。
★普通感情を込めて、会話をしろなどと言いますが、ほとんど我々の日常の会話では一々感情を込めて会話などしていないのです。
★脳は反射的に相手のいう事に対して、答えているのです。答えたのち感情が滑り込むのです。
★その構造を身体の中に取り込むことが、本当に芝居では大変なのです。
★ラスコーリニコフは斧を振り上げ、老婆を打ちその額の血を見てから更に激情的な感覚が湧きあがったとドストエフスキーは書きました。
★ドストエフスキーは実に正しい人間の心理を描いています。
★芝居で難しいのはここなのだと思います。
★そんなことを思いつつ、リズムとテンポとを気にする演出をしています。
★とりあえずあと1週間ほどで小屋入りです。
★皆頑張っています。素晴らしい舞台を目指して。
★本日これまで。お休みベィビー!また明日。