じっと動かず

★これが今年の正月に訪れた時の、現在の県営十二双住宅です。
★昨日の続きです。
★丁度この駐車場のあたりに、角の1軒目の平屋の平野さんの家があり、上の鉄筋の住宅の少し先二軒目に吾が家はあった。
★もう時効であるが、昭和37年1962年に我が家は家賃を踏み倒し横浜へ夜逃げして来た。
★それから、1年後密かにわたしがこの地を訪ねたら、県営住宅のその2軒目だけが、見事に壊され平地になっていた。
★つまり、次の入居者を入れることが出来ないほどに、その今で言えば2Kの平屋の住宅はボロボロに成っていたという事だ。

★いまでこそ、3階建てのビルの住宅になっているが、50年前は木造の平屋だったのである。
★ちいさな庭があり、低い竹の囲いの槇垣があり。
★おばあちゃんは大変口うるさい人で、母とお金の事が元でけんかばかりしていたが、松葉ボタンやコスモスを植えるのが好きで、庭には結構花がそれもわりあい、ランダムに植えられていた。
★風呂場はあったが、風呂桶が買えずほとんど物置になっていた。
★ペスという小さな雑種の捨て犬を飼って居たが、何よりも悲しかったのは、夜逃げで引っ越す前に貰い手を散々捜したのだが、誰ももらつてくれず、弟達が泣きながら、保健所へ連れて行ったことだ。
★別れの時、連れて行った先の保健所の人になついて、しっぽを振り出したペスが、なんとも哀れで悲しかったと、先日娘の結婚式で会った時弟が言っていた。
★さて、話し変って本日は雨。風の無い雨で、近所のコンビニに新聞と駄菓子を買いに家人と雨の中を傘を差しながら歩き小生が聞く「おいこの雨はどっちだ」「まっすぐ」「まっすぐか?」
★何故こんな会話をするのか?
★子どもの頃傘を差した事のない人間はが大人になってから、傘を差すと、風がどちらからきているかが、分らない。
★つまり、子供の時から傘になれている人は本能的に風の角度を感じ、前からふいていれば傘を前傾にし、右横から風が吹いていれば、自然に傘の角度を右にして歩く。
★大人になって初めて傘を手にした者は、(大学生の頃は子どもの頃と違って、買えなくてではなく、いきがって傘はささなかった)風の角度が良く分らず、家人と一緒にそれぞれ傘を差していて、私だけが右側がぐしょぬれになっていたりする。
★つまり、風が右から吹いてきているのに、平気で傘をまっすぐ差していたりするからである。
★こうして、傘を買ってもらえなかった事の後遺症は今も残っている。
★でもそうした事はほとんど克服してきた。
★ただ1つだけ、苦手で直らないことがある。「あなたって暗いのね」と好きな女から言われたらもう駄目だ。
★貧乏ゆえに暗くひねくれてきてしまった。と思われることだけは嫌だ。
★だから、人前では出来るだけ明るく振舞う。
★作品が暗いといわれても、それは意図して書いた場合はなんともない。
★ただ、貧乏ー暗い性格という連鎖で見られていると思うのが、つらいし、嫌だ。
★昔、同棲していた女に言われた事があった。「あなたって、暗いのね」
★勿論人はどんなに明るく振舞っていても、本質は暗いと思う。
★なぜなら、やがて死ぬという命題が必ず全ての人間にあるから、人の本質は暗いと思う。
★ただ、それを好きな女からは言われたくない。
★それは、今でも同じだ。
★だから、あまり根底の暗さが滲み出る役者Y所コウジなどという役者は好きではない。
★芝居はうまいとは思うが、嫌いだ。あの暗さがなんともやりきれない。
★何?それは別の話だ?
★というわけで、本日一日ほとんど動かなかったんだよベイビー!
★躯にはいいわけねえな。口寂しくて菓子ばかり口にして。
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