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私と演劇65 「風・ふたり」というTVドラマ

Al-tarfa小

★写真は7月公演のチラシの原案です。

★さて、1992年に四国中国地方の6県岡山・高知・松山・徳島・山口・広島を廻り各局の若手ディレクターと取材と打ち合わせをして、それぞれ構想を決めて東京に帰り各15分づつのオムニバスTVのシナリオを書きました。

★共通のコンセプトとしては各話それぞれ男1名と女1名または男1名の話である事。映像は、スチールカメラによるスチールドラマとして仕上げる事。時間は15分で、繋ぎに関しては別途に物語をビデオでつなぐ等の事が決まりだったと思います。

★各局入局2年~3年のほとんどドラマを撮ったことのない若手局員と、小生のようなベテラン脚本家(自称ではなくこれはNHKがそう言ったのです)とのコラボで何か新しいものを造りたいという趣旨で始められた試みでした。

★余談になるけれど、この頃のNHKは果敢に新しいことに挑戦して、視聴率等は一切気にせず、独自の仕事をしていました。其の波の中で仕事が出来たことは本当に幸せでした。

★忘れもしません。岡山は市内の高い処にある遊園地を舞台に、記憶喪失の男とその彼女の物語で、モノクロ画面の試みでした。

★徳島は山の中の今は廃校になってしまった母校を不意に会社をさぼった青年が訪れて、初恋の彼女と学芸会の時やったピーターパンの芝居の回想と幻想が入り混じる話。

★松山は、ローカルバスの運転手と東京から家出して、愛媛のバスに乗っておばあちゃんの処へ行く少女の話。

★高知はジョン万次郎にあこがれた少年がボートで沖へ出たつもりが、近くの崖に漂着し、そこで不思議な大人の女と出会う話。

★山口は平貝を古くからの潜水漁法で取り続ける兄弟の観た海の中の幻。

★広島は廃墟に化した元水族館にぼけ始めたおじいちゃんを少女が探しに行く話。

★それぞれ異色の人間と人間の織り成すさりげない現実と幻想の間の模様を、風に乗る時の女の竹下景子さんが繋いでいくという異色のドラマで、ある程度ディレクターによってはあらかじめ構想があったものもあったのだけれど、よくそれぞれ違う物語をオムニバスとして成り立たせたと自分でも感心する。

★同時に100分を超えるドラマをスチールで次々に、ある時は紙芝居・ある時は映画のように繋いで見せていくTVドラマは画期的なくらい新鮮だった。

★その証拠に中四国管内だけではなく、一時NHKスペシャルで再編集して放送の予定はあったのだけれど、予算を節減したために言葉をしゃべる方をプロの役者で雇えず、地元の素人を使ったので、(それがかえって新鮮な作品もあったが)全国放送とするには、声の吹き替えを直すか、6本の内3本をカットせよとのNスペ側からの要求に、当時のプロデューサーが6人のディレクターの苦労を慮り、1本たりとも欠けるのは許可しなかった。

★そして全部の声の差し替えとなると、誰がやるのか?声だけだからそれは東京のラジオ班がやるのか?ラジオ班に今そんな余裕はない、と結局この話は宙に浮き、全国放送はならなかった。

★自画自賛ではないが、もし全国放送されていれば、実に新鮮なドラマとして新風を投じたに違いないと信じている。

★結局この顛末で損をしたのは脚本家だけであった。

★この頃入局2,3年の若いディレクターは今やNHKの看板ディレクターや敏腕プロデューサーになっていて、いずれも大河ドラマや、朝ドラを今撮っていて、NHKエンタープライズのプロデューサーになっている人もいる。

★あれから幾星霜とはよく言ったものである。勿論才能が有りながら民放に転身してそれがうまくいかなかった人もいる。

★そしてこの放送の当日私は改めて、放送を観たくて、岡山の駅前のホテルへ自費で行ってみたのだけれど、民放はこの日同時刻に貴乃花と宮沢りえの婚約の放送をしていて、おそらく中四国の人達も「風・ふたり」というドラマを見た人は極めてすくなかったのではないかという落ちが付いたのだった。

★そして、広島で仕上げをホテルに籠って書いてから、1992年の年末、松江に飛んでラフカディオ・ハーンにつながる「小さな妖精」というラジオドラマを書いた。この作品は1993年2月13日22時~22時50分にこれは全国のNHKFMで放送された。

★三田和代さんが、至芸ともいえる演技をされて、この脚本は幸せだった。

★それから多分、1993年は中学生日記で忙しくなっていくのだか、その話は次回に。

★本日は7月公演のチラシを北村・長谷川の両名が来て、小生とで、なんとかチラシの表を纏めあげ最終原稿にたどり着いた。本日冒頭に掲げた写真がそれである。

★チラシの裏の原稿は後日という事になった。いつもはプロに頼むのだが、経費節減で今回は吾々素人が手探りで作っている。どうなることやら。

★本日これまで。お休みベィビー!また明日。
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プロフィール

G.C(グランド・キャノニオン)

Author:G.C(グランド・キャノニオン)
G.Cことグランド・キャニオン・ビリーブ・ミーこと高貴な谷、つまり 高谷信之のこれはブログです。

G.C(ジードットシー)は1972年からNHKラジオドラマを約80本書き、映画、テレビ中学生日記等主にNHkのシナリオを手掛ける。【ラジオドラマ】「枝の上の白色レクホン」では、芸術祭大賞をとり同じく『天主堂』ではギャラクシー賞優秀賞をとる。
また若者たちと劇団ギルドを1999年に立ち上げ、20年続け、37回公演で2018年秋解散した。70代後半に向かい、演劇のプロジェクト、あくなき、小説・演劇・シナリオの挑戦創造に賭けており、また日本放送作家協会の理事は岩間良樹理事長の時代より20年以上続けた。
他に長崎県諫早図書館・壱岐未来座等のシナリオの書き方、演劇の演出講師、指導等もしている。

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