私と演劇38

★写真は「蛍よ・・・妖しの海を翔べ」の海の舞台写真です。 撮影 向 操
★私と演劇 「38 季節の風がスカートに」
★さて、老婆役の降板によって、稽古期間が足りないし、役者も確保できなかったため、たまたま演出の任がなく、開いていた小生が急遽老婆の役をやることになりました。
★早速セリフ覚えの悪い小生、極端にセリフをカットして少なくして、そのまま舞台に居るような風に脚本を直したのです。
従って、老婆の存在がかえって際立ち、その占い師が奇妙な味を舞台で゛発揮するようになりました。
★そうなのです。役者はセリフの多い少ないではなく、そこにただ存在していることが存在感を増し、インプレッションも強く観客に与えるのです。これは逆説でもなんでもなく、多くの芝居はセリフに頼って、役者を舞台に乗せているからです。
★老婆役はまた、当時小生41歳だったので、同等の年齢に引き下げ老婆ならぬおばさんの占い師にしたのです。
★舞台稽古近く、スカートとブラウスを着て稽古をしてみました。スカートの間に風が忍び込んでくるという事まではスカートをはいてみる前は当たり前のことながらわからなかったのです。
★「あー、なるほど女の人は季節ごとにスカートの中に風を感じて動いているのだな」ということは小生にとっては大発見でした。これこそ体験してみなければ想像力だけではわからないことです。
★春になって股引が取れて、なんとなくズボンの中がスーッと春めいてくるぐらいしか、男の感覚にはないのですから。
★この芝居は鞍馬天狗を追った近藤勇がでてきたり、前年にほんとうに劇場をなくしたSKDをパロって、さすらいのラインダンスをする踊り子を出したり、最後の最後行き詰ると、洪水で何もかもが流れてしまうというような、とんでもない結末で終わったりとか、とにかく支離滅裂な芝居でしたが受けました。
★その頃正月は小劇場の芝居がないこともあって、それほど宣伝もしなかったのに、口コミでお客は沢山やってきて、芝居の評判も上々でした。
★知り合いの衣裳さんや小道具さんから安く借りてきて、そして鬘合わせまでして、実に贅沢な芝居でしたが、勧善懲悪だけれど別にテーマとかはなく、中身はめちゃくちゃな芝居でした。
★芝居の構成はハンフリーボガードとイングリツトバーグマンの映画「カサブランカ」から設定を借りて、羽田空港がいきなり、「川止めだー。おーい川止めだぞー」という処から時代劇に入るという芝居でした。今思うにあの路線で行っていれば三谷幸喜のしばいなどはとっくにしのぐ、はちゃめちやな喜劇作家になれたかもしれません。
★それ以来芝居においては全くの喜劇は1本も書いていないのです。
★とりあえずこうして、この年の正月は開けました。演出をやらないとこんなにも芝居は楽しいのかとも改めて思いました。
★もう一つ大変な事が起こりました。出演者の中に1人完全に男しか愛せない男がいまして、私が女装した事で、あちら側の人間であると誤解され、何回も泊まりに来ないかと誘われ、断りつづけました。
★第一小生神経質でたとえ女の家でも自分の家以外の処では眠りれないし、それよりなにより、そういった趣味は一切なかったからです。
★だがその彼は小生を誤解し続け、後年会って太ってしまった小生をみて「あー、そんなに太っちゃったら、もう男は口説けないね」というのです。どんなに否定しても、この世の中で、高谷はホモだと信じて疑わない男が1人いるのです。何とも奇妙な話です。
★この続きはまた次回。
★アビは結局甲状腺亢進症という年寄りの猫にかかりやすい病気という事がわかりました。体重も1.5キロを割るくらいなのと、年も年なので、手術というわけにはいかず、薬を飲みながら様子を見るという事になりました。
★でも、獣医の先生が実にしっかり論理的に説明してくれて、信頼のおける女の先生なので、ほっとします。医者はまず信頼できるかどうかという事は本当に大切と思いました。
★さて、本日は午後、劇団員の長谷川が来て、2時間シナリオや芸能の発祥をふくめた講義をしました。その後北村と今度から制作を手伝ってくれるカメラマンの向さんという御嬢さんも事務所兼我が家にやってきて、次の公演について、色々作戦会議を行いました。
★本日これまで。おやすみベイビー!また明日。ヤンキースの田中将大負けたよ。残念!
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