私と演劇30

★写真は「蛍よ・・・妖しの海を翔べ」の稽古風景です。
★さて、ラジオドラマ2作目に書いた「赤いパラソル」を元にして、芝居を1本書こうという話が進み始めました。
★西田敏行さんのやった中年の男が、渋谷の駅前に立ち「皆さん!妻を探してください」という演説の稽古をするいわばラジオドラマの舞台になった日の前日を芝居にしようと思いました。
★これは当時八騎人(ハッキジン)と1973年の同じ年に旗揚げした大手の劇団円という処からの発注でした。
★だが脚本がほとんど出来上がり、キャスティングに入ろうという処で、中に立っていた五月舎で同期だったK君が突如疾走して行方不明になり、この話は白紙に戻ってしまいました。
★ラジオドラマは脚色の仕事も入って来るようになりました。中でも嬉しかったのは、私の見た映画の中でべスト3に入ろうかというアンジェイ・ワイダ監督の「灰とダイアモンド」の脚色の仕事が来たことです。
★当時の文芸劇場での放送で、マチックの役は橋爪 功さん、相手役の女に金沢 碧さん共産党書記長の役に金田龍之介さんという豪華な配役でした。
★この頃の橋爪さんはまだ全国区ではなかったのですが、「なぜこんなにもうまい役者が、もっと売れないんだろう」と思っていましたが、後年朝ドラでブレークして、見事な役者さんになり、何回か御一緒に仕事をさせていただきました。
★私の中では日本一の役者さんです。
★「灰とダイアモンド」ではポーランド出身のショパンの音楽を要の処で入れるように書きました。多分音楽の指定を脚本にしたのはこのラジオドラマが初めてだったと思います。
★ポーランドから苦い思いで出奔したショパンの無念で悲しい曲の感じが、マチックと女の恋愛の部分に切なく流れすばらしい作品になりました。またこの作品は、同じくアンジェイ・ワイダの以前見た地下水道も参考にして作り上げました。
★残念ながら、放送はFMではなく第一放送だったので、モノラルでしたが、自作品の中でも好きな作品です。
★それから山田正紀のSF「終末曲面」という作品の脚色もやりました。亡くなった蟹江敬三さんそして藤村 志保さんが出演されました。
★芝居は「泣け昭和、魂の涙きらめかせて」という大作を駒込の300人劇場で上演することになりました。
★ここに至るまで、劇団も小生もとんでもない、危機が襲うのですが、そのことは次回へ。
★本日はタイニーアリスで韓国の新人劇作家の芝居を2本観に行ってきました。発想的には日本人の若手より面白いのですが、劇としては今一でそれほど、感激しませんでした。韓国で見た「地下鉄」という作品のすごさには到底及びもつかない舞台でした。
★タイニィアリスが30数年の会場の歴史を閉じるとの事です。観客としては随分何本も観たと思ています。けれど八騎人・ギルドともにこの劇場はお世話になりませんでした。
★むしろこういう空間ではやりたくない、もっと広く大きな空間で芝居をしたいという考えの下にいずれの劇団もやってきたように思います。
★それが良かったのか、悪かったのかは良否の判断は尽きませんが、私達の現実はそういう事です。
★本日これまで。お休みベイビー!また明日。
スポンサーサイト