私と演劇13

★写真は「蛍よ・・・妖しの海を翔べ」の演出風景です。
★私と演劇「13 セリフを飛ばして」
★さて、京大の寮に泊まり、京都の八坂会館で上演された、別役 実作・鈴木忠志演出の「象」新劇団自由舞台再演で私は男2という役をもらいました。相手役は役者が足りず鈴木忠志が男1をやることになりました。
★別役さんの芝居は微妙な繰り返しがあり、それが持ち味でもあり、一つの特徴でもあります。
★男1「おはよう」
男2「おはよう」
男1「いいお天気ですね」
男2「そうです。いいお天気です」
男1「空が青い」
男2「そうです空が青い」と繰り返しながら微妙にセリフがずれていくのです。
★私はその時極度に上がっていたため、登場してセリフを始めたトタン何故か台本の約1ページ分のセリフを飛ばしてしまったのです。色々の会話があり、約3分後くらいに男1のステッキが振り下ろされ、男2が倒れて、担架で運ばれるのですが、セリフを飛ばしたために、仕方なく男1の鈴木忠志は早々にステッキを私に打ち下ろしたのです。
★そのため、私と男1は約15秒か20秒で舞台から引っ込まざるを得なくなったのです。
★私は当時唯一の新人で、舞台袖で担架から降ろされたとたん本当に落ち込んでしまいました。
★舞台は慌しく終わってしまい、京大の寮へ夜引き返してきたときに「申し訳ありません」と演出の鈴木忠志に改めて謝りました。
★「馬鹿野郎!何を考えてるんだ!」という言葉が返ってくると思っていました。すると案に相違して「いいんだ、気にするな高谷君、ああいうことはあるんだ」と逆に慰められてしまったのです。
★日頃役者の日常のあり方などについて、怒鳴りまくっている鈴木忠志からはめったに聞けないような優しい言葉でした。
★そのため、かえってその時、セリフをとちったという傷は深く小生の心に残ってしまったのです。
★そんな新劇団自由舞台の役者生活から翌年4年となり、劇団こだまも体制が入れ替わりました。再び私は「こだま」に復帰しJPサルトルの「汚れた手」をレパートリーとして押し、見事に票を勝ち取って演出することが出来るようになりました。
★大学の演劇科はほとんど授業にもいかず、授業料も滞納しひどい状態でした。
★アルバイトだけは様々な職種を猛烈な勢いでやったのを覚えています。
★農林水産省の地下の食器運び・帝国秘密探偵社の帝国紳士録という百科事典のように厚い本の会社への配布。バーテンダー。集英社の「リボン」という雑誌の漫画の原稿取り等様々です。
★そうして、一旦除籍になった早稲田の籍を滞納分と入学金の半分を払い3年に復帰したのです。しかしそれでも授業には出ませんでした。
★それほど学生演劇が面白かったのです。
★本日これまで。おやすみベィビー!また明日。
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