私と演劇8

★写真は「蛍よ・・・妖しの海を翔べ」の演出光景です。
★私と演劇8 「8 夜明けの山手線」
★さて、劇団「こだま」に入ったものの、何をどうやったらいいのかさっぱりわかりません。
★どうやら6月の公演、サルトルの「恭しき娼婦」では大道具の助手に役目が決まり、それとは別に男3というセリフの無い役をもらいました。
★それは娼婦が匿った黒人狩りに来る男1の子分で男2とともに約3分程舞台に出るだけの役でした。
★それでも必死に役作りなるものをして、腰に投げ縄をぶら下げ、縄を頭の上でぐるぐるとまわしながら、部屋に入ってきて、部屋の中を黒人が隠れていないかと家探しするのです。
★口にはガムを噛み、セリフはなくとも、わざとクチャクチャと大きな音を立てて、殊更下品にガムを噛みながら部屋の中をウロウロ探します。
★おとこ1と娼婦のセリフのやりとりが少しあって、3人はほゞ3分程で舞台を去ります。
★その3分にまるで命を懸けるように出来る限りの工夫をしました。
★公演場所は千五百人人はいるという早稲田の大隈講堂。ちょっとばかり笑いが取れて、ほどほどに主役たちの邪魔もせず(いや目立ちすぎで今思うと相当じゃまだつたとおもいます)演じることが出来ました。
★勿論学生演劇と言えども当時150円か200円の料金のチケットを発行して採算を取っていました。
★以来3分で笑わせるという役に全勢力を掛ける芝居が多かったので、近頃出番の多い少ないという事で、役を評価する役者が多いのには未だに、共感を得ることはありません。
★役者という者はどんなに出番が少なかろうと見せ場がなかろうと、舞台に出てきたら全身全霊で存在することに賭けるべきだと思うからです。
★それに小生芝居を書く時はそんな経験もあって、どんなに出番の少ない役でも、必ず見せ場をつくろうとして、お客から、「そんなに脇役まで気を配りすぎて芝居を長くすることないよ」といつもおしかりをくらう程どんな役も書き込んでいます。
★話はそれました。だが、この頃稽古場を交互に使う自由舞台はチェーホフの三人姉妹を鈴木忠志の演出で上演し、隣の部室の演劇研究会通称ゲキケンは大谷静男さんの九州の三井三池騒動を元にした、創作劇でを上演していました。
★いかにサルトルと言えども出演者6人程の「恭しき娼婦」は何とも小さな公演に思え、劇団の力のなさを痛感したのです。
★なんだこの劇団は!4年生5年生も居て、1年では何も言えないいらだちの中で、ストレスは溜まる一方でした。
★「絶対に劇団に革命を起こす」同期に入った一年生と、その頃盛んだった深夜喫茶に入りびたりで、夜明けまでコーヒー一杯でねばりながら、語り合ったものです。
★そして夜が明けると一駅分の切符を買って、始発の山手線に乗って眠るのです。山手線が3周廻る位眠りこけて、目が覚めるとラッシュのサラリーマンなどが乗り込んできて、あわてて、電車を降りるようなありさまでした。
★本日これまで。お休みベイビー!また明日。
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